2017-04-18 

陶祖祭り

愛知県瀬戸市は文字通り、〝瀬戸物(せともの)〟の名の由来になった街です。
瀬戸や東濃地方では、加工性の良い粘土が大量に出土した事が一大産地を築き、瀬戸物を一般名詞に押し上げました。
(本題の陶祖祭りの前置きが長くなりますが、その質の良い粘土の元は花崗岩で、この地方の山は花崗岩質の山が多くて、その花崗岩質の山が風化して残った多量の石英砂が、山に貧栄養な土壌と渓流をもたらしています。)

瀬戸市はそんな古くからの陶磁器産地なので、お祭りも陶磁器由来です。
陶磁器には大きくは陶器と磁器があるので、お祭りも磁器をもたらした磁祖‐加藤民吉をたたえる秋の瀬戸物祭りと、陶器をもたらした陶祖‐加藤藤四郎をたたえる春の陶祖祭りとあります。

そんな陶祖祭りが、先の土日の二日間に渡ってありました。
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瀬戸市のご当地アイドルで、幼児に人気の〝陶神オリバー〟のエネルギー源は陶祖‐加藤藤四郎という設定なので、〝陶神オリバー〟ファンの孫を連れて陶祖祭りに行って来ました。

先ずは陶祖公園。
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黄色いジャンパーのボランティアガイドの説明を聞きながら、陶祖碑のある旧市街地高台の公園に。

長い階段を登った先にあるのが陶祖碑。
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江戸末期に作られた、巨大な一枚ものの六角柱状の陶器製碑で、巨大すぎるので専用の焼成窯を作り、その焼成窯を壊して取り出したそうです。
この陶祖碑には、陶祖‐加藤藤四郎の遺徳を偲ぶ伝承が書かれていて、「曹洞宗の開祖である道元禅師が修行に宋に渡った折りに、加藤藤四郎も一緒に宋に渡って陶器製法を学び、日本に戻ってから陶器に適した土を求めて全国を回り、良質な粘土の出る瀬戸で陶器生産を始めた。」となっています。
陶祖の加藤藤四郎が道元と一緒に宋に渡ったというのは、何とも出来過ぎだと思います。
耳触りが良くて都合の良さそうな噂話だけがまことしやかに語り継がれていく伝承の世界なので、史実かは分りません。

問題は、正義の地元ヒーローである陶神オリバーの力の源は、神となられた加藤藤四郎様の神通力〝陶魂〟で、その〝陶魂〟を陶祖碑の地下245mに設置した〝陶神力ジェネレータ〟で増幅させて得られる等々の設定なので、この陶祖碑は大切なんです!?

そんな陶祖碑のある陶祖公園からの眺め。
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旧市街地と言っては怒られるだろう旧市街地が一望できます。
自分が小さい頃には未だ残っていた、焼成窯の煙突は一本も見えません。
大昔は藩外輸出、近代は海外輸出で栄えた陶磁器産業も、安価な海外品とプラスチックに押されて、残っているのは極僅かです。
それに伴って旧市街地も人口は減るばかりで、旧市街地の小学校5校と中学校2校を全統合して、平成32年度に中高一貫の1校にまとめて平成32年度に新たに開校する計画です。
それ程に旧市街地の空洞化は激しく、山間の過疎地と同じで年寄りばかりの旧市街地になってきています。

陶祖公園を後に旧市街地のアーケード街に行くと、ユルキャラと言うか、コスプレと言うか勢ぞろいです。
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旧市街地のアーケード街は、シャッターが閉まったままの店が半分以上(7割以上?)。
そんなアーケード街を盛り上げようと〝ご当地キャラ大集合〟が企画され、ピンクや緑色の髪のコスプレイヤー達や着ぐるみキャラで賑わっています。
最後の写真の右側が陶祖-加藤藤四郎のユルキャラ〝藤四郎クン〟で、左側が瀬戸物茶碗に乗った〝瀬戸ちゃん〟です。
こんな風に事あるごとに旧市街地で催しを行い、建物や陶飾橋などの数々の投資を何十億円と行っていますが、旧市街地の空洞化は全く止まりそうにありません。
旧市街地住民の目先利益と伝統的政治力が災いして、つい10年前まで道路整備や区画整理も全くの手つかずで放置し続けていました。
その為に、人も店も郊外に加速度的に脱出してしまった後なので、今更なんともなりません。

そんな事はさておき、肝心の〝陶神オリバーショウ〟。
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右の陶祖様の力を貰っている〝陶神オリバー〟は相変わらずの正義のヒーローで、左が悪の帝国の隊長〝カラカス〟。
カラカスとは瀬戸弁で、喰いカラカス、喋りカラカス、寝カラカス、遊びカラカスというように「~し続ける」と言う意味です。

黄色い〝カラカス〟と戦っている、左の怪人は〝アラケナー〟といいます。
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アラケナーも瀬戸弁で、「あ~つはアラケナー」という風に使い、「アイツは乱暴」と言った意味になります。
そんな〝アラケナー〟は悪役?の盗賊ですが、カッコいいので人気者です。
脱悪役の為か、今回のショウでは悪役〝カラカス〟と戦い、死んでしまいました。

そして、人気者につきものなのが、慕う女性。
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死んだはずの〝アラケナー〟が再び登場して、女性魔人〝ガラミティノミコト〟といい感じで話をしています。
〝アラケナー〟は子供達に人気なので、いつまでも悪役にしておくわけにいかないし、ロマンスも必要になるんでしょう。
二枚目は得です!強いです!

この陶神オリバーは”ご当地ヒーローでまちおこしの会”がやっていますが、今や瀬戸市と商工会議所が後援し、銀行などの17社が協賛しています。
ホームページは勿論、宣伝動画もアップして、主題歌CDやティーシャツなどなどのオリジナルグッズも販売し始めました。
内容はコテコテの地元色なので、ビジネスとして伸びるとは思えません。
が、国宝松本城などの本物の歴史的木造天守閣がある中で、500億円以上使って名古屋城を木造で建替えれば、観光目玉になって採算も合うなどと言う何処かの市長よりは現実的です。