2017-07-13 

渓魚の干物

川魚はその白身が淡白で、特に貧栄養の源流域に棲むヤマト系イワナやニッコウ系イワナやアマゴ類は、脂肪分も多すぎないので、身もきめ細かに締まって、川魚特有の臭いもせずに美味しい魚です。

そんな渓魚の食べ方の王道は、串に刺して焚火周りに立てて焼いた塩焼でしょうが、家庭では上手に水分を飛ばしながらの塩焼は結構難しいです。
我家では、腹を下にして開いて焼網に乗せ、水分を下に落としながらジックリと枯焼きにします。

から揚げも簡単で美味しく、特に3枚に下して少量の油で揚げ焼したソテーはパリッとして贅沢な一品にもなります。
が、塩焼同様に作りたてで無いと美味しさが激減します。

その点では、甘露煮は保存が効くし、簡単に食べれて美味しいのですが、圧力鍋を使っても結構な手間暇がかかります。

そして今は、それらの調理法の他に渓魚の干物が活躍してます。
干物にしてしまえば、食べる時はオーブントースターに放り込んで焼くだけで、いつでも美味しく食べられるので、最近の我家の流行です。
が、源流渓魚は他の魚の干物とは少々違う作り方のコツがあるので、その紹介を・・・。

①先ずは渓魚の確保。
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干物の場合は特に脂が載りすぎていない、栄養が必ずしも十分では無い上流域の魚がより良いです。
具体的には、体の表面が粘液でベットリ覆われている様な魚の方がより美味しいです。
脂の多い渓魚は、王道の塩焼にすれば間違いなく美味しいですね。

②頭と内臓を出します。
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干物の魚味と薄塩味だけの極めて淡白な味を楽しむので、雑物は全て取り除きます。
エラの入った頭も、内臓も、血合いも綺麗に除きます。
この際に洗いすぎたり、水に漬けておくと、浸透圧で水が魚体に滲み込んで美味しく無くなってしまいます。
従って、自分は調理する直前に腹出しをします。

③骨を取り除きます。
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ヒレと中骨の他に、我家では腹骨もスキ取ります。
(最終的に干物を手に摘まんで、ポテトチップスの様に食べるので、骨が無い方が良いというのが建前ですが、渓魚料理に関しては単純に家族を甘やかし過ぎてしまったジイサンが原因です。)

④刺身直前状態にします。
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三枚にオロシますが、皮は付けたままにします。
干物作りの共通だと思いますが、②が終わってからは刺身と同様に、ここまでもこれからも絶対に洗わない事が大事で、水を吸うと一気に味が落ちます。

⑤漬け汁を作ります。
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極一般的な干物漬け汁で、水1リットルに、塩80g,料理酒大さじ1,味醂大さじ1を入れて漬け汁を作ります。

⑥漬け汁に渓魚身を入れます。
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此処からが、渓魚干物特有のポイントです。
漬け汁に渓魚身を入れたら、漬け汁で優しく揉み洗いします。
揉み洗いの目的は、渓魚表面の粘液の除去で、源流域のヌルヌルイワナなどだと、粘液が皮側だけでなく、三枚オロシの身側にもベットリついて、漬け汁が魚身にしみません。
粘液が邪魔だと、漬ける前に流水などで魚身を洗ってしまうと、水っぽくなって台無しです。
写真に有るように漬け汁が魚粘液で少しトロトロとなり濁っても来ます。
漬け時間は、本流などの粘液が殆ど無い魚体の場合は5分程度、粘液ベトベトの源流魚の場合は30分程と、魚の状態に合わせる必要があり、これは粘液状態と出来上がり塩味を経験で覚えるしかありません。

⑦干し網で乾かします。
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自分の場合は皮を下にして、シッカリ乾かします。
表面の水気が引いた頃に、魚を持ち上げて、皮と網との固着だけは防いで、後はそのまま放置したままです。
この時に魚の輪郭に沿ってゼリー状のものが分厚く網に付く場合がありますが、これは源流イワナには非常に多い魚表面の粘液が固まったもので、ゼリー状の物が沢山つく場合は、⑥での揉み洗いがその時のイワナには不足という事なので、次回には揉み洗い具合を増やします。
海の物などは半生干物が美味しいですが、イワナ/アマゴについては表面のベトベト感が完全に収まるくらいには干しています。
カリカリと半生の中間程度の干し加減にしておくと、渓魚干物を冷凍保存した時の味劣化も抑えられます。

⑧オーブントースターで焼きます。
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冷凍保存しておいた干物を解凍せずにそのまま、1分予熱しておいたオーブントースターに並べて4分間程焼きます。
魚グリルやオーブンで焼くより、オーブントースターがふっくら焼けます。

⑨出来上がり。
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上手く出来た渓魚干物は、焼くと干物が風船の様に膨らんで、中はジューシーに外はパリパリになります。
これは、干物の外側を渓魚の粘液由来の膜が適度に覆っている為です。
従って、①の釣って来た渓魚の粘液量によって、⑥の揉み洗い加減を、最適に出来ると美味しい干物になります。
渓魚の粘液が少ない場合や、揉み洗いすぎた場合には、フックラ焼き上がらずに、⑤の漬け汁も滲みすぎて塩辛くなります。

渓魚の粘液質が、死後の鮮度低下を防いでくれ、死後の水滲みよるブヨブヨ化を防いでくれ、焼き上げのフックラ感を担保してくれます。
脂分が多い場合は、粘液も少ない場合が多いので、干物にした時にもブヨブヨした身になりがちなので、王道の塩焼にした方が良いと思います。